WRC第6戦、Vodafone Rally de Portugalは、ポルトガル北部に位置する第2の商業都市ポルトで開催される。エッフェル塔で知られるグスタフ・エッフェルの弟子、テオフィロ・セイリグが設計したドン・ルイス1世橋は、ポルトを代表するランドマークの一つだ。下層は車と歩行者、上層はメトロと歩行者が通行する二層構造となっており、骨組みの美しさが際立っている橋。
Vodafone Rally de Portugal、サービスパークはポルト近郊マトジニョスのエクスポノールに置かれ、歴史ある大学都市コインブラでのセレモニアルスタートから幕を開ける。ロウザやアルガニルの高速ステージ、そして最長のアマランテへと続く構成は、ヨーロッパ最初の本格グラベルとして、ドライバーの力量を測る指標とされる。路面の変化や気温、観客の密度といった要素も相まって、状況判断の精度が勝敗を左右する、カレンダー屈指のクラシックイベントだ。
2023年のポルトガル大会を観戦した際に体験したホスピタリティプログラムでは、見晴らしのよい観覧席に加え、ポルトガルの食文化にたくさん触れた。観戦の魅力は走りだけにとどまらない。ポルトガルのローカルフード「ビファーナ」は、スパイスで煮込んだ豚肉を白いパンに挟んだシンプルな一品。目にした瞬間は、その汁気の多さに少し戸惑うが、パンが旨みをほどよく受け止め、あっさりとした味にまとまっている。「ラリー観戦は、食体験でもある」といっても過言ではない。いつも何食べた場所だっけ?から記憶の捜索が始まる。
ラリーは観る場所によって印象が大きく変わる競技でもある。観覧席までの道のりや、現地での待ち時間、ふと立ち寄る街の食堂など、すべてが一体となって体験を形づくる。走行シーンの迫力と同時に、その土地の空気や生活のリズムに触れることができる点も、他のモータースポーツにはない魅力といえる。
ケニアでは水を含んだ泥が行く手を阻み、フィンランドでは森の中を貫くような高速走行が展開され、ポルトガルではマシンが軽やかに宙を舞う。そうした違いに気づけるようになること自体が、ラリー観戦の楽しみをより深いものにしていくのではないだろうか。そしてポルトガルの次はついに日本。刻々とその時は近づいている。FORUM8 Rally JApanまであと20日。舞台はもうすぐそこ。
WRC ラリー ポルトガル レポート Up&Coming 142号 「ラリーツーリズム ラリーで世界を旅しよう」
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